以下の記録は、2009年10月9日(金)に、近鉄八木駅近くの居酒屋にて「風のメロジア」の 打ち上げ座談会の模様を書き起こしたものです。 参加者は、Salt&Uribossaのふたりと、ジャケット写真を担当したY.B.M氏。 隠れ家のような小部屋で、おじさん3人が地味に盛り上がりました。 この種の対談は、本来はレコード会社や出版社が企画するものでしょうが、そういう話もないので、 mottosレーベル自主企画で決行。 呼びかけはしたものの、なかなか3人の予定が合わず、発売から数えて約2ヶ月後の夜でした。 奇しくもその日は、故John Lennonの誕生日。3人とも普段あまり飲まないお酒も飲んでの ほろ酔い対談でしたが、改めて聞き直すと、意外と密度の濃い会話をしておりました。
S Salt U Uribossa Y Y.B.M
1.「飽きない音」を作りたい
S 乾杯!!
U 乾杯!!
Y 乾杯!!
S (アルバム完成から)ものすごく、間が空いてしまいましたが ようやく今日は「風のメロジア」の打ち上げと言うことで・・・ どうですか、その後。
U その後ですか・・・・ 最近、嬉しいメールをいただいたんですが、ジャズが好きな人で オーディオに詳しい方からの感想なんだけど・・・。 その人は仕事でブラジルに4~5年おられて、その滞在中に ボサノヴァが好きになって、ジョアン・ジルベルトとも出逢ってる。 自分でもボサノヴァの弾き語りをされるんだけど、彼が、 「風のメロジア」は、今年聴いたボサノヴァ・アルバムの中では ベストだと書いてくれてました。
S 今年、ボサノヴァのアルバムは3枚くらいしか聴いてないんじゃない(笑)
Y そんな・・・・(笑)
U そんなことはないと思うけど(笑) 簡単に褒めない人のことばだけに、ものすごく嬉しかったですね。
S 私のところにもいろんな感想が届いてますが、「何度も繰り返し聴いてます」 という反応が多いですね。それも5回、10回じゃなく、50回とか100回とか・・・
Y 僕もその一人ですよ。仕事しながら流してると、5回は廻りますね。 1日中かけてるときもあるし・・・。
S 日によって心に響く曲って、変わりますか?
Y ある程度決まってる曲はあるんですけど、何度も繰り返し聴いていると とても新鮮に感じる瞬間がありますね。
S 作り手の立場から言うと、やはり「簡単に飽きない音にしたい」というのは 一番思うことです。ふたりとも「商い」は下手なので、せめて 「飽きない」ものを作ろうと・・・(笑)
U 確かに。
S とっかかりが良くなるように媚びるのではなくて、きちんとしたものを 作りたいという願いはあります。派手な味ではないけど、これがないと 食べた気がしないなあという地味な副食って感じかな。 梅干しとか、納豆とか・・・
U なるほど、なるほど。
Y それは、曲を書いてるときから考えてるんですか。
S そうですね。僕等の今のスタイルが必要最小限の音しか「出さない」 「出せない」かたちに、こだわってる部分もあるので、自ずと作り初めから そういうものを志向しているところはありますね。 今までは、完成に目指して足し算していくような音づくりだったのが 今は完成に向かって無駄なものを引き算していく感じに変わってきたのは確かです。
Y そうですか。
U そうそう。
S まずは、自分の中で存在理由のあると思える素材を、最初の聴き手として Uさんに聴いてもらって、「これはいい、是非演りたい!」と思ってもらえたら というのが、私にとっては動機付けであり、第一関門ですかね。
U いわゆるボサノヴァっぽい曲っていうのは、結構ね、ちょっとやったら 出来るんですよ。まあ歌詞は置いといて・・・。 でも、Sさんの作ってくるものは、そういうのじゃない場合が非常に多い。 それが、ピタッとはまっていたりすると、凄いなあと思うんです。 やっぱり一番感動したのは「風のメロジア」ですね。 当初は別の曲がアルバムタイトルになる予定だったんですけど・・・
S そうでしたね。
U でも、「風のメロジア」を聴いたとたんに「これしかないやろ」と思いました。 アントニオ・カルロス・ジョビンに「wave」という曲があるんですけど 「風のメロジア」を聴いたときには、そのイメージがバーッと浮かんだんです。 これはSさんのWaveだと思いましたね。もの凄く感動しました。
S いわゆる「それっぽい曲」は、器用な人なら簡単に作れても それっぽいものは要するに借り物なんです。 様式美を完成した人たちに対するリスペクトを忘れちゃいけませんが やっぱりオリジナリティーにこだわりたいです。
U そうですね。
S 私がUさんの存在に興味を持ったのは、ハーブクラブの彼のソロライブで観た 松田聖子の「ロックンルージュ」の演奏です。 勿論、日本語で歌うボサノヴァにも独特の感性が光ってたんだけど やっぱ松田聖子ですね。
U ありましたねえ。
S ロックンルージュって良く出来た曲で、オリジナルのアレンジも完成度が 高いので普通はあえて違うアレンジで演ってみようという気に あまりならないというか、たとえ試したとても、オリジナル以上には なりにくいんです。
U 確かにかっこいい曲ですよね。
S そこにあえて挑む。しかもボサノヴァじゃないし・・・
U マルシャですね。
S 物凄い頑固さと柔軟性を兼ね備えた人だなと。
U そんなことないですよ(笑)
2.写真作品とCDジャケットの間で
U 今回、Yさんに撮影してもらって本当に良かったね。結構ハマってますよ。
Y 本当ですか?
S 「あれ以外ない」って感じです。
Y いろいろトラブルもありましたが・・・。
S トラブルにも必然性があったかな。今回はUさんの強い指名なんで・・・・。 何もかもふたりでやっても良かったんですが、Yさんに是非絡んでもらいたいと。
U お願いして良かったですね。僕としては、Yさんがモデルの Lisaちゃんと どう絡むのかというのも、もうひとつの興味でした。
Y 僕としては、Lisaちゃんにもう一歩踏み込みたい感じはありましたね。
U プロのモデルじゃないからね。
Y いや、逆にモデルとして撮ってしまった感があります。 顔をわからないように撮らなきゃならないとか、その辺のいろんな制約が ありましたけど、自分がやって来た写真の「人を撮るスタイル」では 顔を写すのは当然で、一枚の写真の中でその人の「人となり」を描きたいと いうのがテーマだったので、グラビアなどの仕事でも、モデルをモデルとして 商品として撮ることにずっと違和感がありました。 だから、僕の中では「Lisaちゃんを撮る」というのが目指すところだったんです。
S よくわかります。
Y 写真を撮る者としては、デザイナーであるUさんの最初のイメージからは ずいぶん違ったものになってしまった気がします。
U いや、出来上がったものを使わせてもらおうと思っていたので そういう落胆はないですよ。
Y そう言ってもらえると救われます。
S 私としては、自分の娘をモデルに使って、自分の住んでる室生で ロケするなんて全く思いもよらないことで、最初は戸惑いも少しありましたが いいマイルストーンになりました。 日に日に変化していく Lisaの一瞬を切り取ってもらって良かったなと しみじみ振り返ってます。 特にYou Tubeのスライドショーなんて見てるときは、完全に父親目線です。
U デザインの変更も含めて、なるべくしてなったような気がしますよ。
Y でも、こんなにたくさん写真を使ってもらえるとは思ってませんでした。
U いや、内側はマルチでいこうと決めてたんで。
S ジャケットに関しては「Yさんの写真を生かしつつ、自分の作品にしますから」 と言い切ったUさんの宣言通りになった感じですね。
S この前、私の高校時代の美術の先生も買ってくれたんだけど このジャケットを見て、「この風力の記号はいらない」と言うんですね。 この空間は、あけておかないと駄目だと。そういう意見についてはどうですか。
U いやあ、これは無いと駄目でしょう。
Y 写真をモチーフにしたグラフィック作品として見たときに 逆に遠慮しすぎなんじゃないかなと思います。
S なるほど。絵画とグラフィックとは違うからね。その先生は絵描きだから また観る視点が違うんでしょうね。
3.目指す音色と使うギターの微妙な関係
S 今回の録音でのギターの音色についてのこだわりや反省はありますか?
U やっぱりまだ目指す音ではないですね。
S 違和感あります?
U 違和感ではないけど、まだまだ理想の音ではないです。 ギターのせいもあるんですが。
S その辺のところは、僕等は聴いててよくわからないですね。
U 目指している音色って言うのは、ジョアン・ジルベルトの音なんだけど それがいいと感じるか、悪いと感じるか、それは聴く人の自由だと思う。 仮にその音が出せたとしても、それが本当にいいのかどうかは疑問です。 やってみないとわからないし、実際、やってみたら、「何か違うぞ」と いうことになるかも知れない。 また、そんなにジョアンのギターの音にこだわるのなら、ジョアンの 使ってるブラジル製のギターを買えばいいんだけど、いや、何を置いても 買うべきなんだろうけど、あえて買わない自分がいる。 ということは、つまり、「そんなにこだわってるわけじゃないのかな」という 答えが自分の中に返ってくるんです。 だから、音質よりもむしろ表現力を追求すべきなんだというところに 落ち着いてるわけです。
S その辺が面白いね。もしUさんが単なるジョアン・オタクだったら 私とは続かないと思います。
U ただ、やっぱり自分の目指す音質があって、それは高価なギターでは出ない。 音が綺麗すぎて駄目なんです。それで、日本のオールドものを探したりね。
S 年月を経てこそ、ギターは初めて、その楽器本来の音が鳴り出します。 勿論、弾き方にもよるし・・・・。女性と同じかな。
Y なるほど。
S ギター2本の絡み具合にもこだわりましたね。他の音色がない分だけ どうしてもパッと聴いた印象の地味さは否めないんですが、逆に そのことによって、緻密さや細やかさが勝負どころになるわけです。 これはYさんのフィールドだけど、カラー写真が白黒写真よりもおしゃべりな ように、聴き手の想像力で埋められるある種の「隙間」や「欠け」がある分だけ 聴き手を飽きさせない力を持っているわけです。 すぐれた白黒写真がカラー写真よりも色の深さを感じるように 聴く度に発見があるような音になればいいなと思ってます。
U 隙間をただ別の音で埋めていくようなリード楽器は入れたくなかったですね。 今回も間奏が入っている曲もあるけど、同じ音色で入っているから うまく調和していると思いますよ。 でも、次回はフルートとか入れてみたいですね。
S そうそう、他の楽器を拒否してるわけじゃないです。
Y 楽しみですね。
4.S&Uのボサノヴァにおける「ことば」の位置
S ボサノヴァというのは、バチーダにのせてつぶやくように歌うというだけの ものじゃないと思うんです。いわゆるエレクトーンにプリセットされているボタンを 押せば流れ出るリズムに取りあえず乗っかってればボサノヴァ?ちょっとお洒落な カフェミュージック?そうじゃない。もし、ボサノヴァの創始者たちが、 現在のボサノヴァシーンに何かコメントするとしたら、どこに「新しい傾向」という 本来的な意味でのボサノヴァがあるのかと問われるのではないかと思っています。 作曲家ジョビンは英語を許容したけど、表現者であるジョアンは、どこまでも 母国語であるポルトガル語にこだわった。だとすれば、日本人は日本語に こだわるべきではないかと思うわけです。 その辺もUさんのこだわりともつながっていくんですが。
U 歌の「ことば」というのは、深くて難しいですね。 「歌詞」は、ひとりよがりな難解な「詩」とは違う。Sさんの場合は いろんなことを踏まえた上で、あえて誰でもわかるやさしい「ことば」で 伝えようとしている。そこが共感できますね。
S 結局、人の心に届いて、そして残るのは、自分の感動や体験に基づいた 「等身大のことば」だと思います。しかも、聴き手に届けるためには、 表現上の妥協がない限りにおいて、聴き手のフィールドのことばで伝えないと 駄目なんじゃないかな。それにUさんが言われたように、本当に大事なことって、 実は誰もが言わなくてもわかりきっていたり、ことばにするとちょっと 恥ずかしかったりするようなことだったりする。でも、それは音楽だと言えてしまう。 ことばの持っている意味やリズムと音がぴったりくると、本来文字で読んでいたら 跳ね返されていたようなことばもスーッと通り抜けて、深いところにストンと 落ちたりする。それが気持ちいいんです。
U そうですね。
S その当たりが、ことばのある音楽の魅力ですね。今は「意味」を考えずに、 「ことば」を無視して「音」を聞き流す傾向が強いですが、私は「音」と同時に 「意味」として入ってくる「ことば」が、聴き手に届けばいいなと思って 歌っています。うまくいけば、「意味」として認識するよりも、深いところに 「ことばの芯」のようなものが残っていく気がするんです。
U ことばを作っていく上で、どこで何を感じているのかがすごく大事なんでしょうね。 常日頃のくらしぶりというか・・・。のほほんと暮らしてちゃ駄目ですね。
5.ことばとメロディはどちらが先?
Y 僕もその辺の「ことば」に関することを今日は聴きたかったんです。 曲のテーマというか、音楽が生まれるときのいわゆる「種」というのは やっぱりことばからじゃないのかなと思うんですが、音からというのは あるんですか?
U 半分、半分ですかね。「ことば」が先のときもあれば、確かに「音」の時も あります。勿論、その音にはそれぞれ意味合いがあって、こんな気分の音と いうのはありますね。Sさんはどうですか?
S そうですね。やっぱり半分、半分かな。ことばと音がシンクロして 立ち上がってくるときもありますね。
Y 「曲とことばとのシンクロがいい」という笛吹きの野田さんからのコメントも あったように思いますが。
U ありましたね。
S はい、嬉しいコメントでしたね。
Y 僕もそれを感じていて、そのシンクロはどこから生まれてくるのか 知りたいなと思って。作品を作る動機から作品が生まれるとしたら、やはり そのきっかけは「ことば」かなと思うわけですが、今のお話だと、「音」からの 場合も半分あるということですよね。
S 半分以上あるかも。響きというか、流れというか。
U 平たく言うとメロディですね。
Y 例えば、「風のメロジア」のアルバムの中で、メロディから・・・というのは あるんですか。
U 鋭い切り口ですね・・・あるのかな?
S そうですね。完全にメロディが出来て、後から次の段階の作業として「ことば」を のっけていくというのはなかったかも知れません。「核」になる部分が出来てきて それから増殖していくという感じかな。
Y ひとつの楽曲が出来上がっていくというのは、椅子や机のようなかたちのあるものを 作っている立場の者からしたら、とても不思議な気がします。
U いや、同じじゃないかな。音でやることも、かたちを作るのと本質は同じだと 思うけどな。
Y イメージから音符が生まれてくるというのも不思議なんですが、歌うためのことばが 出てくるのも、また不思議なんです。日記やお話ならかけそうですが 歌うべきことばというのは特別ですよね。作り話では嘘っぽいし。
S 伝えたいことや感動に先立って出て来たことばは、どうしても口先だけの ものになってしまうからね。
U やっぱり中身かな。中身があれば、簡単なルールさえわかれば書けそうな気が するけどなあ。
6.ラブソングのラブについて
Y ラブソングは、やっぱり伝えるべき相手がいてのものですか。
S 例えば、「Esteja perto de Mim」は、栗本さんのカンボジアでの ボランティア活動の体験談を聞いて生まれた曲なんですが、彼はこう言うんです。 「困っている人に対して自分の姿を見せずに、物やお金だけ送っても 何にもならない。簡単に解決策を示して、手を貸してもいけない。 ただそばにいてあげてほしい。そして一緒に泣いて困ってあげて欲しい」 私は、栗本さんの実践に裏打ちされたこのことばに触発されて曲を書こうと 思ったんですが、そんなメッセージを歌にのせるのは難しい。 だからラブソングにしようと。
Y ラブソングのかたちをとってるけど・・・
U もっと広い意味を持っている。
S そう、もっと軽く、サラッと聞き流せるほど軽いんだけど、何かちょっと ひっかかるようなラブソングにしようと思ったんです。 私の作品には、そういういくつかの意味が重なっているものが多いです。 ラブソングにはそういう普遍的な力があるんです。人の感情には、憎しみや怒りや 妬みもあるけど、そういうのはほとんど歌にはなりません。 歌にしてまで歌いたいこと、みんなと共有出来る気持ちというのは、 やっぱり「あなたが好き」「愛してるよ」ということ。 これは、どんなお金持ちも、貧乏人も、弁護士も、町のチンピラも「思い」は ほぼ一緒なんです。 人を動かす愛のメッセージというのは、特別な人の特別な感情ではないんです。
Y なるほど。
S 今更確認するのも間抜けなんですが、「Vocé」は、ラブソングじゃないんですか?
U 違います。「Vocé」は、あの頃の自分なんです。
Y そうなんですか。
S 色恋関係なしですか。
U 色恋全く関係なしです。「Dois Mapas」のヘタレ版です。 「50年生きてきたけど、これで良かったのか」というテーマです。
S ギターと歌との絡みが、自分との対話みたいに聞こえていれば嬉しいです。
7.家具のような音楽と音楽のような家具と
S 「家具のような音楽」という表現があるけど、今後の家具づくりの ビジョンってありますか?音楽とのつながりで話して欲しいんだけど。
U 音の鳴る家具とか。単純すぎるか?
Y かたちになるものは、やはり使う人や見る人の想像力に頼るところ 音楽以上に大きいですね。家具から音楽を感じてもらいなんてことは とても難しくて、その人の記憶や音楽経験に頼るところが大きいですから 「ブルースを感じる椅子」なんて言っても、どこから「かたち」を 引っ張り出してこようかとなるわけです。 それは、有名なブルースマンのイメージだったり、実際にステージで 使っていた椅子だったりとなるはずですよね。そんなイメージを共有する人は ごく一握りですからね。と言いつつ、僕がこれから作ろうと思っているのは 普遍性のある家具というよりは、「使う人」「求める人」限定の 狭いニーズに応えるものなんです。 「曲を書くときはこの机で書きたい」「ステージで歌うときはこの椅子で歌いたい」 みたいな・・・そういう家具を作りたいなと思ってます。
S いいですね。
Y 昔、家具を勉強しているときに、大阪で知り合ったあるブルースマンに 「いつか椅子を作って欲しい」と言われたんですが、彼が語ったイメージは こうなんです。「自分がステージに上がる前に、暗いライブハウスの中で 照明の当たったその椅子が、自分の代わりにブルースを奏でているような、 そういう椅子を作って欲しい」と言うんですね。 その時は遠い話だと聞き流してたんですが、今になって彼のことばが よみがえって来ましたね。
U 今なら作れるよね。
S 家具はオブジェじゃなくて実用品なんで、やればやるほど難しいんです。
U 演奏者が来る前に椅子にスポットが当たっているというのは 確かに効果的な演出かも。
S 「ゴッホの椅子」「ゴーギャンの椅子」というのをゴッホは油絵で描いてるけど 確かに人物は座っていないのに、人物が感じられますからね。 優れた家具というのは、人との関係性を語りますから。
8.右肩上がりのアラ・ファイブ
S 「右肩上がりのアラ・ファイブ」という私たちのキャッチコピーがあるけれど、 これは結構プレッシャーですよ。どんどん良くならないと駄目なんだから。
U 現状維持だと右肩上がってないわけだし。
S だから、次のアルバムはもっと良くなりますよ。 確実に「風のメロジア」を越えます。
Y おおぉ、キタ~
S Uさんがもっといい曲が書きますから。
U うわぁ、キツ~
Y 楽しみだなあ。
S すでに今回の2曲、かなりクオリティ高いですからね。
Y 正直、「Makani」でいつも仕事の手が止まりますもん。
U あの曲は、書こうと思って書いた曲じゃないんです。 気がついたらかたちになっていた。そんな曲です。 ハワイアンバンドを組んでいた友人が亡くなり、残されたご家族を思って 作ったんです。当初はアルバムに入れるつもりもありませんでした。
S 「いい曲作ろう」とか、「1曲足りないからもう1曲」とか、そういう作り方で 出来た曲とは、全く違った何かを多分感じてもらえると思うんです。 これは、Yさんが、量産家具ではなく、オーダーメイドにこだわって 家具作ってるのと同じです。だから、「お値段以上の○○」の家具で 満足出来る人は、僕等の音楽は聴かなくてもいいってことかな。
U 「Makani」がハワイのことばで「風」っていう意味があることも 今回のアルバムコンセプトにぴったりで、後から考えてみると、どこかで 引き合ってたんだなあという気がします。 ハワイアンには余り詳しくないSさんが、ハワイアン風なギターを 弾いてくれたのもびっくりです。
Y あのギターはいいですね。曲にぴったりです。
S ハワイアンの友達の為の曲だということはインプットされてたんですが。 ハワイアンはあんまり聴いたことないですね。高木ブーくらいですか(笑)
S 生まれてくるべき曲を地道にしっかり育てていけば、自ずと明日は よくなるでしょう。 ところで、Yさん、次回もジャケット写真よろしく。
U よろしくお願いします。
Y え~、もうそんな話ですか。
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